マジックを見せるためのポイント (第5回)

マジックを見せる──つまり、不思議を観客に届ける方法。
これは、時代が変わっても根っこの考え方は変わりません。

よく言いますよね、「マジックはプレゼンテーションと一緒だ」って。
その通り、マジシャンにとって大事なのはどう魅せるか。
タネよりも見せ方。ここが決まれば、あなたのマジックは何倍も輝きます。

そこで私、昼から飲みはるが、マジックを見せる上で欠かせない5つのポイントを語ります。
これを押さえたら、マジックがちゃんとウマい人のマジックに見えるようになりますよ。

お約束します。
これを読んだあと、あなたのマジックの質は確実に上がります。
(全5回でお届けします)

取材・文:昼から飲みはる 写真:O-DAN

ボディーランゲージ

今回の最後の講座は「ボディーランゲージ」についてです。
ここでいうボディーランゲージとは、肉体の動きを使った非言語コミュニケーションのことを指します。

マジシャンは言葉だけでなく、体の動きでも様々なメッセージを観客に伝えられます。
しかし、その伝え方を間違えると、言いたいことと真逆の印象を与えてしまうこともあるのです。

では、その違いは何か?
それが今回お伝えしたい「ボディーランゲージ」の本質です。

ボディーランゲージって何?
相手に触れて話しかけること?それとも相手の話にツッコミを入れること?

どちらも近いですが、マジックの世界で使うボディーランゲージは少し違います。
マジシャンのボディーランゲージとは、「演技中に伝えたいことを正しく伝えるための体の動き」です。

「伝えたいことを伝える」ためには、これまでにも触れてきた「演技力」が欠かせませんが、あまりにもわざとらしい動きはかえって気取って見え、体の動きが硬くなってしまうもの。

自然体で、でもしっかりと伝わる。そんなバランスを目指しましょう。

演技中に伝えたいことを正しく伝える方法

では、どうやって自然に、しかも観客に気づかれずに注意をそらしながら演技を進めるのか。
言い換えれば、「見られたくない部分を巧みに隠しつつ、マジックを成功させる」にはどうすればいいのか、ということです。

答えはシンプルです。
見せたくない部分に意識を奪われるのではなく、あなた自身が「このストリッパーデックはただの普通のデックだ」と信じ切ること。
仕掛けのある道具を、仕掛けのないものだと自分が確信することです。

そこから、スリービングやラッピングといった基本技術を完璧にこなすことで、
マジックはまったく違和感なく、スムーズに成功します。
(澤浩氏の“気をそらす演技”は、参考にするといいかもしれませんね。)

さて、話は変わりますが、椅子に座って演技をするときのボディーランゲージについても触れておきましょう。

座って演技をする場面で、つい目の前の観客だけに話しかけたり演技したりするマジシャンをよく見かけます。
しかしそれでは、せっかくのエレガントでこなれた演技も「印象に残る」ことは難しいかもしれません。

立っていても座っていても、目の前の観客だけでなく、自分の横に座っている人にも視線や話しかけを向けることが大切です。→第1回参照
ただし、マジシャンはどんな環境で演技を頼まれるかわからないので、さまざまな条件を想定して演技を準備しておく必要があります。

姿勢はどうあるべきか

ボディーランゲージと密接に関わる、「マジシャンの姿勢のあり方」というテーマは、実に奥深く、難解な問題です。

昔から物語の中で描かれてきたマジシャン像を思い返してみましょう。
腰が曲がった老婆が怪しげな薬をかき混ぜながらニタニタ笑う姿。
あるいは、寸胴で背広を着た男がステージで四つ玉らしきものを操るシーン。

そんなイメージが根強くある中で、マジシャンの姿勢は自由であっていいのかもしれません。

では現代、私たちが思い浮かべるマジシャン像はどうでしょうか?
前田智洋氏のように、ビシッとスーツを着こなし、努力の結晶を背負うかのようなマジシャン。
ホアン・コラス氏のようにミステリアスで、ヒッピーのような自由な雰囲気をまとったマジシャン。
あるいはジェイソン・ラティマー氏のように情熱的で熱いラテン魂を感じさせるスタイル。
守屋一朗氏のように、強烈なキャラクターとクリエイティブなパワーを放つスーパークリエイタータイプもいます。

結局のところ、姿勢というのはキャラクターに強く依存するのです。

話を座ってのマジックに戻しましょう。
ラッピングやミスディレクションのボディーランゲージがより求められるシチュエーションです。
なぜなら、体の露出部分が少ない分、体全体を使い、注意を逸らしながらテクニックを隠し通す必要があるからです。

だからこそ、姿勢もキャラクターに合った自然体で、かつ巧みにボディーランゲージを駆使し、演技に深みを与えなければなりません。

ここで改めて、自分自身に問いかけてみてください。
あなたが思い描く、理想のマジシャン、あるいは魔法使いとは一体どんな人でしょうか?

そんな永遠のテーマを胸に抱きながら、今回の5回にわたる講座で紹介したマジックのポイントを意識して、これからのマジックライフにぜひ活かしていってください。

それではまた、次回の回でお会いしましょう。