マジックを見せるためのポイント(第4回)

マジックを見せる──つまり、不思議を観客に届ける方法。
これは、時代が変わっても根っこの考え方は変わりません。

よく言いますよね、「マジックはプレゼンテーションと一緒だ」って。
その通り、マジシャンにとって大事なのはどう魅せるか。
タネよりも見せ方。ここが決まれば、あなたのマジックは何倍も輝きます。

そこで私、昼から飲みはるが、マジックを見せる上で欠かせない5つのポイントを語ります。
これを押さえたら、マジックがちゃんとウマい人のマジックに見えるようになりますよ。

お約束します。
これを読んだあと、あなたのマジックの質は確実に上がります。
(全5回でお届けします)

取材・文:昼から飲みはる 写真:O-DAN

姿勢・足の向き

今回のポイントは、ちょっと地味ですが…「足の向き」です。
「いやいや、そこまで気にしてるマジシャンいるの?」と思うかもしれませんが、
実はこれ、プロの間ではかなりオーソドックスなテーマなんです。

両足の向きや姿勢については、参考資料も山ほどあります。
そして、一番のお手本は舞台俳優さん。
彼らはステージ上で立つ位置をピタッと決め、手の動き、足の位置まで計算して演技を始めます。
これ、マジシャンにも超応用できます。

さて、話をマジックに戻しましょう。
ステージでマニュピレーション(四つ玉やミリオンカード)をやるとき、
どんな立ち姿を思い浮かべますか?
たぶん、足を45°〜90°くらい開いて、横を向いているイメージですよね。

でも、ちょっと考えてみてください。
日常生活で、真横を向いて立ってることってあります?
おそらく、ほとんどないはずです。
前回もお話ししましたが、「不自然な動き」は違和感のもと。
実は「不自然な姿勢」も同じで、観客の目には“何か変”と映ってしまいます。

じゃあ、マニュピレーションを行うときの“自然で美しい姿勢”って、どう作ればいいのか――
そのあたりを、このあとじっくりお話ししていきます。

3/4を観客に向ける。

正解と言っても、これは私が思う「正解」です。
マジシャンのホワンタマリッツ氏も言っているように、
ジャケットからモノをスチールするときは横を向く必要がある場面もありますが、
観客にちゃんと顔を向けたまま(あるいは向いている印象を与えたまま)スチールすることは十分可能です。

横を向くのは、スムーズに体を動かすために問題ありません。
ただし、不自然にならないことが大前提です。

では、なぜ横を向いてスチールすると違和感が出るのでしょうか?

見た目が美しくない

観客とのコミュニケーションがとりづらい

不自然に見える

仕込むモノが左右にある場合、体を右に左に動かさなければならない

背中側から見ると、スチールする腕の肘の動きが「何か怪しい動きをしている」と思われる

こういった理由から違和感が生まれます。

違和感なくスムーズに動作を行うためには、
ある程度常に観客の方向を意識するか、
体を動かし続けて「動いている感」を出すことが重要です。

つまり、まさに「足の運び方」がここで生きてくるわけです。

結論「体は前に向けるように足を運ぶ」

さて、結局のところ何を意識すれば、足の運びや姿勢に違和感なくスムーズにマジックができるのでしょうか。

答えはシンプル。マジシャンの相手は常に「観客」であり、背を向けたり、目を離したり(離している印象を与えたり)してはいけない、ということです。

ただし、ずっと目を離さずにいるのも、逆に違和感になるかもしれません。
そんなときは、第1回で話した「視線」を思い出してください。
きっとその答えが見つかるはずです。

前回触れた「キャラクター作り」とも関係しますが、演出上必要なとき以外は、基本的に観客に背を向けてはいけません。

これは、接客業でもパフォーマーでも俳優でも、対面で人と関わる全ての人に共通する約束事です。

この意識を持って、ぜひ演技に取り組んでみてください。

いかがだったでしょうか。
今回は、違和感なく見せる「姿勢」と「足の運び方」についてお話ししました。

この部分は一朝一夕で身につくものではなく、じっくり時間をかけて本や実践で体得していくものです。焦らず、しっかりものにしていきましょう。

そして、次回はいよいよ今回の講座の締めくくり。マジックの肝ともいえる「ミスディレクション」のテクニックについて掘り下げていきます。

どうぞお楽しみに!
→第5回