マジックを見せるためのポイント(第1回)

マジックを見せる──つまり、不思議を観客に届ける方法。 これは、時代が変わっても根っこの考え方は変わりません。 よく言いますよね、「マジックはプレゼンテーションと一緒だ」って。 その通り、マジシャンにとって大事なのはどう魅せるか。 タネよりも見せ方。ここが決まれば、あなたのマジックは何倍も輝きます。 そこで私、昼から飲みはるが、マジックを見せる上で欠かせない5つのポイントを語ります。 これを押さえたら、マジックがちゃんとウマい人のマジックに見えるようになりますよ。 お約束します。 これを読んだあと、あなたのマジックの質は確実に上がります。 (全5回でお届けします)

取材・文:昼から飲みはる 写真:O-DAN

いくつかのポイントに絞って解説します

今回は実践にすぐ使える内容をギュッと詰め込みました。
すでに現場でマジックをやってる人、これから挑戦しようと思ってる人の役に立てば嬉しいです。
逆に「種だけ知りたい」「実践はしない」という人には、あんまり刺さらないかもしれません。
でも、最後まで読んでくれたら、きっと何か持って帰れるはずです。

さて、現代のマジシャンってどんなイメージを持つべきでしょう?
僕はこう考えてます。

「明るくて、器用で、話しやすい人」

…だけど、今の日本でマジックというと、ちょっと違うんですよね。
どこかオタクっぽかったり、物静かだったり。
エレガントな雰囲気はあっても、話しかけづらい人も多い気がします。

じゃあ、僕たちマジシャンが目指すべきは?
そう、

「明るくて器用で、話しやすい人」になること。

そのために必要なのは、僕の中でこの2つ。

1つ目は、「不思議な雰囲気を作れること」
2つ目は、「観客とのコミュニケーション力」

どっちも見逃せないポイントですよ。

不思議な雰囲気を作れる人

マジック界のレジェンド、ダイ・ヴァーノンも「不思議な雰囲気を作れる人」について語っています。
じゃあ、その「不思議な雰囲気を作れる人」ってどんな人なのか?
これから5回にわたって話す内容を掴めば、きっと腑に落ちるはず。

さて、今回のテーマをざっくり言うと──

「当たり前のことを当たり前にやる」

これに尽きます。

もちろん誤解しないでほしいのは、ここでいう「当たり前のこと」って、

道具やトリック、アイデアのことじゃありません。
舞台照明の明るさとか、観客の当たりハズレでもない。

じゃあ、いったい何のことか?
次からじっくり掘り下げていきますよ。

当たり前を当たり前に

最初のポイントは「視線」です。
意外かもしれませんが、プロのマジシャンでもできてない人が結構います。
特に日本では、ここが徹底されていないんですよね。

もちろん、観客とのコミュニケーションとセットで考えてほしいですが、
まずは視線。これがめちゃくちゃ大事。

演技が始まる前に、観客全体をちゃんと見渡せてますか?
誰が興味なさそうか分かってますか?
暇そうなあの人を楽しませられますか?
耳の遠いおばあちゃん、おじいちゃんにもちゃんと声は届いてますか?
観客はちゃんとマジックの展開について来れてますか?

プラスでもマイナスでも、まずは全体に目を配ることが肝心。

そして、もうひとつ大切なのが「柔らかさ」です。
凝視はNG。
視線はあくまで全体に、やわらか〜く巡らせましょう。

「目で訴える」って言葉があるように、目は強力なコミュニケーションツール。
マジシャンの必須スキル「目力(メヂカラ)」と「目で話す力」も鍛えていきましょう。

特に日本の観客はシャイな人が多いので、視線の使い方を鍛えてるマジシャンはまだまだ少ないです。

最初は視線を配ってると、
「あの人、つまらなそうだな」「あの人怒ってる?」なんてマイナスの反応を拾いやすいですが、
そこはぐっとこらえてください。

マイナスを気にしすぎると、せっかく練習したマジックの質まで落ちちゃいますからね。

視線の誘導

さあ、実践でグッと使える「視線」のテクニック、4つに絞ってサクッと解説します。
いわゆる「ミスディレクション」、つまり視線の誘導術です。
これをマスターすれば、あの一流スリ師アポロ・ロビンス(Apollo Robbins)みたいな視線誘導のプロのマジシャンになれるかも!?

  • モノを見ない

    隠し技を使うときや、見られちゃいけない動きをするときは、絶対にその場所を見ちゃダメ! だって、マジシャンがじっと見てたら観客も目が釘付けになっちゃうからね。 技を使うときは必ず観客のほうを見て、視線でうまくそらせましょう。

  • 視線を移動させる

    観客の視線を誘導するときは、まず手元や道具を見せてから、サッと観客か別の道具に視線を移す。 そうすると観客も違和感なく、スルッと視線が動いてくれます。 ポイントは“違和感を与えないこと”! 「ここで見ちゃいけないことやってるのに、全然気づかれない」って錯覚させるのがミソです。

  • クロッシング・ザ・ゲイズ

    右手でコインをパームしてる時に、左手を指さして観客の目を集めます。 そのあと視線を左手にスッと移すと同時に左手を握り、右手を手前に出す「待ってください!」ポーズ。 この時、コインは丸見えなのに不思議なことに観客は握られた左手に夢中で、右手のコインに気づきません。

  • ダブル・クロッシング・ザ・ゲイズ

    クロッシング・ザ・ゲイズを2回連続でやるテクニック。 観客の視線はこう動きます: マジシャン全体 → 手元 → マジシャン全体 → 手元 これを使うと、何も仕掛けのないモノを堂々と見せてから、さりげなく仕掛けのあるモノにすり替えられる! まさにマジックの肝中の肝です。

モノを見ない

視線誘導の基本中の基本、ここを押さえないと話になりません。
まず、これだけは絶対覚えておいてください。

  • マジシャンが道具をジッと見てたら、観客もそこに注目します。

  • マジシャンがあるお客さんを見たら、他の観客も「なんであの人見てるの?」って視線をそっちに向けちゃいます。

  • マジシャンが客席全体を見渡していると、自分も見られてる気がして、ついマジシャンのことを見返しちゃう。

  • でも、日本人のお客さんは特に、道具をじーっと凝視しがち。だから動きで視線をうまくコントロールしないとダメなんですよね。

で、こういうことを踏まえると、
「道具そのものを見ない」っていうのは、
道具から観客の視線をパッとそらす、めちゃくちゃ簡単で効果的なテクニックなんです。

つまり、道具を見ないで観客を見てれば、
勝手に視線はそっちに流れていく。
これ、覚えたらすぐ使えますよ。

視線を誘導する

観客の視線をガッチリ動かすには、さっき話した2つの鉄板ルールを使いこなすのがコツです。

1つ目は「マジシャンが道具を見つめると、観客も道具を見る」ってやつ。
そして2つ目は「マジシャンが客席全体を見ていると、観客はマジシャンを見返す」ってこと。

この2つを意識して、視線の流れを自分の思い通りに操っちゃいましょう!

クロッシング・ザ・ゲイズ

これを使った代表技といえば、そう、「サムチップのあらため」です。

サムチップ自体、ドヤ顔で見せるものじゃないんですけど、
この視線誘導をバッチリ決めれば、
「さあ改めますよ〜」って堂々と両手を見せながら、
実はサムチップをこっそり消してるってワザができちゃいます。

ちなみに、テンヨーから出てるサムチップ
あれがまた扱いやすくて、初心者さんにもおすすめですよ!

次は○○

いかがでしたか?
マジックで超重要なポイント、それが「視線」です。

これを意識するだけで、あなたの演技は一気にプロの域に近づきますよ。
視線の効果は、観客には見えないかもしれません。
でも、演技の説得力や質は間違いなくアップする。
だから焦らずじっくり、時間をかけて身につけていきましょう。

実はこの「視線」って技術、
マジック以外の生活や仕事でも使える、めちゃくちゃ使い勝手のいい武器なんです。
説得力アップにだって役立ちますよ!

それでは、また第2回でお会いしましょう。

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